今回のレポートは前日の物と趣を変える。大きな理由は猿遊会の参加人数が多かったため、PCを置く場所の確保ができなかったのだ。他にも配線が邪魔で心配したこともある。そのため、現場でのレポート作成を断念。しかし、それでも熱く語れると判断したのである。
猿遊会の二日目もHJ『OPERATION TYPHOON(オペタイ)』だった。前日が不本意なまま中止したため、セットアップをやり直し、朝一から対戦を開始したのである。そのつもりで集まると、参陣を諦めていたSBさんが現れる。強力なK-ZOCを地道な交渉で突破したのである。これは正に万難を排したと言っていい快挙であった。これには皆が歓声を上げて歓迎し、この合計5名で対戦となった。では、飽きずにメンツと担当の紹介をする。
ルセロ:ドイツ軍北部担当
前日は千葉会派閥の飲み会へ親子で参列。そこでグデグデ…、にはなら無かったなぁ。
DESRECH:ドイツ軍北部担当
前日は軍神派閥の飲み会へ参列するが、その後の2次会戦へは欠席。「こんなオヤジ達とは付き合えないぜ」と健全に早退。
軍神殿:ドイツ軍南部担当
前日は千葉会系列との抗争により、分裂飲み界を開催。さらに異界へ2次遠征も催したため、この日の参陣が遅れ責任を追及される。
SB:ソ連軍北部
ハマの古強者。オペタイは数十回の経験があり、このメンバーでは最も練度が高い。
yagi:ソ連軍南部
これで3回連続のソ連軍南部を担当。当然の如く、前日はMustでグデグデ。BuleBeelさんや信長さんへ絡む絡む。
『1ターン終了時 猿遊会2日目 11:26』
軍神殿の指揮下である第2装甲軍による攻撃で、オープニングのサイの目は“12”。行き成り突破となり、両陣営から驚きの歓声が沸き上がる。実は、 前日から軍神殿の悪運は神懸っていたのである。それを法力とさえ呼んでいた。この軍神殿の法力が及んだか、中央や北部でも攻勢が進展する。ここ最近のオペタイで最高のスタートとなった。
赤軍は大きく中央部で戦線を後退させる。危険な南部では、49軍がツーラより南下(写真では左)できないため、ツーラを中心に弧を描くように後退。
『2ターン終了時 猿遊会2日目 12:10』
ドイツ軍は攻勢を継続、前線を押し進める。南部ではツーラの後方へ圧力を加えて、包囲の態勢を狙う。中央部や北部でも、攻撃に成功。そしてドイツ軍に大きな陣地変更が見られた。それは中央部の第4軍から第13軍団を引き抜き、南部へとスライドさせたのだ。これはツーラ攻略部隊の増強である。
ここの状況を見たSBさんから助言があった。曰く
「ドイツ軍はツーラの攻略に兵力を送っている。これでセルプコプは落ちない。何より、ツーラとセルプコプは馬蹄型に戦線を構築して、その中央には戦線は必要ない。」
この戦略眼には新鮮な驚きを禁じえなかった。確かに、ツーラは危険になったものの、セルプコプの周囲にはドイツ軍がいないのである。対戦中にこのような適切な解説をされるのは殆どない。表情を変えることは無かったが、心強い味方を得られたと湧き上がる幸運感は格別だった。
ちなみに、マップの脇に置かれているのは、『SIX ANGLES』の新作。作者の山崎雅弘氏が来場するとの情報があり、その対策のため内容を確認していたのだ。
『3ターン終了時 猿遊会2日目 12:55』
ふむ、写真にはドイツ軍の進撃方向だけを描く方が、見易いようだ。以降、そのようにしよう。
ドイツ軍はツーラの後方へと喰い込んでいる。ツーラとセルプコプの中央部には戦線が構築されていない。道路が東方へ続いていないため、ドイツ軍に補給の問題があり、攻勢が継続できないのである。
ドイツ軍の攻撃により、ソ連軍の戦車旅団が戦隊となる。これをツーラへと送るべく、大きく迂回されている。スタック制限で戦隊は余分に1個加えられるのだ。手間は掛かり、途中でドイツ軍の攻撃が進展すれば、ツーラまでは届かない事態も有り得る。しかし、この時点では前線へ送っても、ドイツ軍に喰われるだけだ。やってみる価値はある筈だ。
ここで昼食へと一時退散する。
オペタイの5名に、BuleBareさんやF男さん、それにDublinさんも合流し、楽しい一時を過ごした。合言葉は「東部戦線から帰って、昼飲むビールは上手い」。異論は許さん。
『4ターン終了時 猿遊会2日目 14:24』
ドイツ軍はツーラ後方の道路を遮断。これでツーラの孤立が決定した。中央部や北部でも攻勢を継続。ジリジリと前進を行う。
『5ターン終了時 猿遊会2日目 15:01』
ドイツ軍の急進は続き、ツーラの包囲は目前となる。そしてツーラとセルプコプの中央地帯へドイツ軍が浸透。ソ連軍は延翼に追われる。
『猿遊会2日目 15:20』
個人的には、オペタイがビッグゲームとは言えないと思っている。何せ、AH『THE LONGEST DAY』は基準であるのだから。しかし、オペタイでも結構な広さがあり、マップの中央を動かすのは手間がかかる。下手に手を突いたらマップがずれて、戦線が物理的に崩壊する危険が高いのだ。そこで私は椅子に脚を置き、身を乗り出すようにしていた。態度は悪いのであるが。右の写真が普通にユニットを動かしている状況。この体勢は腰に来るのである。隣のSBさんが拳をついているが、このはちょっと危険。
そしてオペタイは人気があるため、観戦武官も非常に多かった。私自身は、対戦で熱くなっていたため、話はあまりできなかったのだが。前日に隣で対戦していた「
WEST TOKYO WARGAMERS」にも取り上げられており、少々気恥ずかしかった。
『6ターン終了時 猿遊会2日目 15:45』
南部ではツーラの包囲が完成する。北部でもクリンの目前まで進んでいる。ソ連軍はツーラ円陣に最強の部隊を送り込むのに成功していた。ツーラの旅団はこの規模で最強の10戦力であり、師団もA2やA3の精鋭。ドイツ軍の諸兵連合効果を打ち消すため、戦車戦隊も到着していたのだ。
そのため南部のソ連軍は戦線の構築が困難となる。ドイツ軍に包囲されないよう、必死の後退戦を繰り広げている。
『7ターン終了時 猿遊会2日目 16:25』
ドイツ軍による、ツーラの円陣を絞る攻撃が始まった。ギリギリと音を立てるように締め付けるが、ここでソ連軍が奮戦。強制された低比率の攻撃を成功したのだ。思わず、「よっしゃー!キター!!」と吼えてしまった。壊乱状態だったソ連軍南部も、何とか態勢を立て直せている。
ドイツ軍はセルプコプ周辺でも攻撃に出る。延翼の後に、兵力を密集させ一点を突く。今更ながら、軍神殿といい、DESRECHさんといい、勝負どころを見抜く力は抜群だ。地味だがルセロさんだって悪くない。第1次クリン攻防戦を挑み、ソ連軍に損耗を強いているのだ。味方にすれば心強いのだが、相手にした時にこれほど厄介な連中はいない。
『8ターン終了時 猿遊会2日目 17:03』
ドイツ軍の挑んだ第2次クリン戦により、同市は陥落。セルプコプの孤立化も成し遂げられている。奮戦したツーラ円陣のソ連軍も、ドイツ軍の攻撃により壊滅した。第2装甲軍を指揮する軍神殿は、手を緩めず攻撃を続行。ソ連軍の南部は、これはオカ河になるのかモスクワ河になるのか。大河を目指して撤退している。
『9ターン終了時 猿遊会2日目 17:53』
ツーラ円陣の攻防はソ連軍に絶望的ながら、善戦を見せている。先に、ツーラ郊外に陣取ったソ連軍へドイツ軍が攻撃を行い、これを後退させる。しかし、この部隊が退却した地点で反撃を強制されたものの、ドイツ軍守備隊を後退させる。これでツーラ本陣への攻撃は1ターン待つ事となった。
セルプコプは攻撃態勢を整える。後退するソ連軍を追ったため、包囲網は完成したが、直接攻撃する兵力は足りなかったのだ。
『10ターン終了時 猿遊会2日目 18:26』
ツーラ外周の戦いは終わる。善戦した部隊も、ドイツ軍の攻撃により壊滅したのだ。写真では撃退されたような矢印にしてしまったが、この段階ではツーラへは攻撃を行っていなかった。少々間違えた。セルプコプへは、このターンに攻撃が開始された。その結果はD1(1)。ソ連軍は死守を厳命し、部隊の損害で後退を打ち消す。そして外周にあった部隊を、セルプコプ市街へと入れる。これが精一杯だ。北部ではドイツ軍は要所のクリンを占領し、攻勢に出る意義は最早ない。そのため休戦を宣言し、防御態勢へと移行した。他の戦線では、南部でドイツ軍の追撃が道路に沿って行われている。苦しい戦いではあるが、個人的には好き場面だ。
『11ターン終了時 猿遊会2日目 18:50』
ああ、そうか。ツーラは既に計算が面倒なので隣接させていないのだった。ソ連軍が撃退した勘違いしていた。ツーラ攻防戦は…。いや、ゲームは佳境を迎えている。というのは、この時点でドイツ軍の獲得したVPは38に達していた。簡単に言えば、ツーラが陥落すれば、その時点で勝利が確定するのである。
そのツーラの防御態勢は、先にも述べているがソ連軍の出来得る限り強化していた。戦力は、戦車戦隊が1、A1のツーラ旅団が10、そしてA3の師団が19。合計30戦力だった。対するドイツ軍は、ここぞとばかりにアクセル・アサルトを宣言。第13軍団の所属部隊が倍の戦力となり、額面のオッズは1:1であった。それが同一師団効果で3シフト、空軍で1シフトし、最終的に都市の5:1で解決する事となった。
そして軍神殿の導き出した戦闘結果はD1(2)。横でそれを確認したSBさんが「あれだけ戦力を入れておいて、一撃で3ダメージかよぉ」と嘆くと。私も「投了です…」吐き出し、一時的に戦意を失う。しかし、と。まだツーラには19戦力と戦車戦隊が生き残っている。これからのオッズはアクセル・アサルトがないため、それほど上がることはない。気を取り直して、ゲームの継続を申し出る。それを聞いても誰一人嫌な顔を見せず、戦いを再開する。
『12ターン終了時 猿遊会2日目 19:21』
「ツーラの戦闘結果をサイコロ振って行くだけでいいのでは?」と私が言えば、「いや、続けるなら全体的に動かさないとダメだよ」と軍神殿。その言に従い、ソ連軍の前線へ攻撃を続行する。と言っても、北部は休戦状態だったが。
先のターンはツーラについてで精一杯だったが、第1次セルプコプ戦も行われていた。ソ連軍の最強A3の師団+戦車旅団に対する攻撃は、D2(1)だった。ソ連軍は死守を厳命。部隊を磨り潰してセルプコプの維持をした。そしてこのターンに隣接していたヘクスにあった予備と入れ替え、A1の師団+戦車旅団+生き残りの戦隊と出来得る限りの増強を行った。
このターンに行われた第2次セルプコプ戦でもD2(1)となる。ここでも死守を厳命し、セルプコプを守るソ連軍は戦隊が2個だけとなった。月並みの表現であるが、風前の灯である。
そして第2次ツーラ戦は額面1:1を4シフトし、5:1。その結果はD1(1)となり、またもや戦力を磨り潰し、これでツーラ守備隊はステップロスした師団のみ。
「投了・・・、いやいやいや、次のターンに雪が積もる可能性があるから続けさせてください!」と戦闘継続。他の人間は知らないが、オレはちゃんと勝負が付くまでやらないと気が済まない。だってさぁ、諦めた時点でゲームは終わるんだよ。それは最初のゲームが始まったところでもいいんだし、最終ターンのギリギリでもいいんだから。僅かでも可能性が残っていてやめたことがあってね。「ああ、こうしていれば負けない可能性があった」と後で思いついてね。悔しくて眠れなくなったんだ。ウォーゲームで後悔だけはしたくないじゃん。
『13ターン終了時 猿遊会2日目 19:34』
もう、他の戦線を動かす必要もなく、わずか10分で終わっている。ソ連軍の願いも虚しく、天気は晴天。第3次ツーラ戦により、同市は陥落。この時点でセルプコプの結果を求めることはなく、ゲームを終了した。
ドイツ軍の南部は盤端まで達している。要所であるツーラ、セルプコプ、そしてクリンをドイツ軍が占領し、ソ連軍の損害は30ユニットを越えていた。ここまでソ連軍が完敗するのは…。いや、ソ連軍が負けるところすら、初めて見た。
ゲームを終了した時点で、SBさんには申し訳ない気持ちで一杯だった。折角、時間を抉じ開けてやって来てくれたんだよ。それでいい思いをさせられなかったのには、本当に残念だ。
ソ連軍の敗因は、「漠然と対戦したこと」になる。というのは、ここまでソ連軍の圧勝だったため、そのまま何も考えずゲームに挑んだのである。勝負事に於いて、いつも通りでいいなどと、甘い考えを持った時点で墓穴を掘っていたのだ。
しかし、だ。ドイツ軍の勝因は一つ。凄まじいまでの軍神殿の悪運だ。天候はゲームを通じて好天続き。補給だって、第2装甲軍だけは十分に届いていた。さらに、攻撃を全く失敗しなかった。オレから見た印象であるが。
その旨を軍神殿に告げると、「いや、5回くらいは失敗したよ」と。思い返せば、確かに失敗する事もあったろう。自分の悪い事は記憶に深く残るものだ。それでもドイツ軍は毎ターンに2~3回の攻撃を行っていたので、30回の内の25回は成功していたのである。何より、相手を引き摺り回す手管は、昭和の勝負師を彷彿させるものだった。
正に、軍神降臨が相応しい一戦だったのである。
『戦い済んで日が暮れて』
ゲームを終えてしばらくは、すっかりしょげ返って落ち込んでいたのだが、2~3日もすれば元通り。「ああすれば勝てたかな」とか「こうすればどうかな」と思い浮かべている。そうやって、ゲームを思い返して次の戦いを想像するのは、ウォーゲーム独特の楽しい時間だ。
正直な話しだが、これまでオペタイには良い印象が無かった。ドイツ軍が厳し過ぎるように思うのである。一度、歯車が外れると、立て直しが不可能に近い。そう言った事態を幾度も体験して来たのだ。それだけに、ソ連軍が完敗した今回一戦は、私の心にオペタイを輝かせる宝物となったのである。またやりてえなぁ。
[3回]
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