千葉会で対戦したGJ新作『マンシュタイン最後の戦い』のリプレイをお送りします。
まずプレイした感想から述べましょう。
正に天才・中村の面目躍如と言えます。
素晴らしいウォーゲームに仕上がっています。
圧倒的兵力によるソ連軍の攻勢と、精鋭のドイツ軍による反撃。消耗戦から退却戦とドニエプル河を巡る攻防戦。
『激闘!マンシュタイン軍集団』→以降『激マン』と同じように栄誉ある賞を取るのは間違いありません。
システムは『激マン』をほぼ踏襲していると言っていいです。
基本的な部分は司令部チットを引き、引かれた司令部が活性。司令部の指揮範囲にあるユニットが移動と戦闘を行います。違いと言えば、移動と戦闘の順番を選べ、総統との交渉や、空軍があるくらいでしょうか。
『激マン』の対戦経験があれば、口頭説明でも十分対戦可能になります。
リプレイの前に、ルール間違いがあった事を述べておきます。
それは「ソ連軍の司令部は他の司令部で活性されない。」を、ドイツ軍と同じように「他の司令部により活性される」と勘違いしていたのです。
この間違いにより、ソ連軍の攻勢がかなり早まったと思われます。ルール間違いがなければ、1手番分はソ連軍の攻勢が遅れるため、ドイツ軍の防備は強化されていたでしょう。
では、リプレイへと移りましょう。
『ゲーム開始時点』
こちらがゲーム開始時点となります。
傑作の呼び声が高い『ウクライナ43』と同じ時期から、ゲームは始まります。
『1ターン』
リプレイにあたって、ゲームの肝に当たるチットの順番を以下のように示す事とします。
①
ヴォロネジ方面軍:(攻撃のみ)
②
第4装甲軍
③
第6軍
④
ステップ方面軍
⑤
ソ連軍増援:ヴォロネジ方面軍を増強
⑥
第8軍
⑦
南西方面軍
⑧
ヴォロネジ方面軍
⑨
南方面軍
⑩補給判定
ソ連軍は6枚ある選べる中で、1枚を増援としました。その理由は、司令部が離れている以上、有効な攻撃を行えず、本格的な攻勢に移る下準備が、数ターン掛かると判断したのです。
まあ、ヴォロネジ方面軍を増強しましたが、別の箇所でも良かったようには思いますがね。
ソ連軍の攻撃自体は、ほとんど成功しませんでした。
というのは、先手を打ってドイツ軍が装甲師団と歩兵師団をスタックさせ、1ヘクス単位の戦力を強化したためです。
後退型の戦闘結果表なので、低オッズで行われる正面からの攻撃では、戦果を得られないのです。
ウクライナ43や史実とは大きく違って、序盤にソ連軍の攻撃が成功しないので、違和感はありますね。まあ、ソ連軍としては、やれやれですが、これからソ連軍のスチームローラーが回り始めますので、そこから戦況は大きく動いて来ます。
『2ターン』
①
ヴォロネジ方面軍
②
マンシュタイン:ハリコフの死守を解除
③
南西方面軍
④
第8軍
⑤補給判定
⑥
ソ連軍増援:ソ連軍増援:南方面軍を増強
⑦
南方面軍
⑧
ヴォロネジ方面軍→
マンシュタインで割り込み:第4装甲軍
⑨
第4装甲軍
⑩
ヴォロネジ方面軍
あれ?ステップ方面軍が活性してないなぁ。記録を間違えたのかな?
ソ連軍はまたもや1枚増援としました。南部で戦車戦力が足りないと思われたのです。戦車と歩兵の額面戦力自体は、ほぼ差はありません。しかし、移動力の関係で、戦車部隊は、敵の戦線に浸透ができ、さらに戦闘後前進でも食い込めるので、ドイツ軍に取って脅威となるのです。後退型の戦闘結果なので、これは大きく物を言うのです。
ドイツ軍は北部でハリコフさえ放棄し、戦線を大きく後退させました。それと比べて、南部では動きが見られません。というのは、ドイツ軍は南部の司令部を活性しませんでしたし、ソ連軍の攻撃はほとんど失敗していたのです。
さて、ここで「マンシュタイン」について解説しておきます。
『激マン』でも、同じように「マンシュタイン」がありました。このチットが引かれると、ドイツ軍は自由に司令部を活性できました。これにより、柔軟な対応が取れたのです。
このゲームでは、それを一歩進めて、「割り込み」や「死守命令の解除」、それに「増援の受け取り」まで行えるようになっており、ドイツ軍の作戦的柔軟性を更に強化し、当時の南方郡集団が抱えていた問題の再現にも成功しているのです。
『3ターン』
①
南方面軍
②
第1装甲軍
③
ヴォロネジ方面軍
④
南方面軍
⑤
ステップ方面軍
⑥
第8軍
⑦
マンシュタイン: スタリノの死守を解除
⑧
南西方面軍→
マンシュタインで割り込み:第6軍
⑨
第6軍
⑩
南西方面軍
⑪補給判定
あれ?これまた記憶と違う部分がありますね。
というのは、このターンにはドニエプル河を越えていないのです。
このターンは南部でラッシュを掛けて、ドニエプル河前面で逃げそびれているドイツ軍を幾つか排除したのです。
もしかすると、写真のターン数が違うかも知れません。
実は、写真を多く撮りすぎており、分からなくなったのです。それを勘案してくださいな。
『4ターン』
①
ステップ方面軍
この活性により、チェッカシー周辺でドニエプル河を渡河する。
②
南方面軍→マンシュタインで割り込み:第1装甲軍
南部で反撃を行う
③
ステップ方面軍
ハリコフの南部でもドニエプル河を渡河する。
④
ヴォロネジ方面軍
第7装甲師団壊滅。ドイツ軍に取り、始めて装甲師団の損害となる。
⑤
南方面軍
⑥
ヴォロネジ方面軍
DR(第2SS装甲師団)壊滅。
⑦
第4装甲軍
⑧
第6軍
⑨
第1装甲軍
⑩
マンシュタイン:増援の受け取り(LAHと第6SS騎兵師団)
⑪
南西方面軍
⑫補給判定
ソ連軍は、先のターンに南部でラッシュを行い、そのためドイツ軍の注意をそちらへ逸らしておき、このターンに北部でラッシュを行なった。
そのためドイツ軍はマンシュタインの割り込みを南部で行い、北部の危機に身動きが取れない事態となる。
そこをヴォロネジ方面軍とステップ方面軍による4回の活性で、ドニエプル河を渡河し、橋頭堡の拡大に成功しました。
ここでソ連軍のチットについても解説しておきましょう。
ソ連軍は4個の司令部があり、各ターンにその司令部の中で6個を選びます。ただし、その内4個は必ず各司令部を1個ずつ選ぶ必要があり、実質的に自由に選べるのは2個だけとなります。
このゲームでは司令部を集中しラッシュを仕掛けると、ある地域で4回の移動と戦闘を行えるので、これは『激マン』よりも厳しい事態となるのでした。
私は経験的に、序盤では司令部と戦車戦力を集中させ、それが終わってからラッシュを掛けるべきであると思っていました。平均的に活性しても、ドイツ軍に逃げられてしまうだけだと。
『5ターン』
①
ヴォロネジ方面軍
②
南方面軍
③
第6軍
④補給判定
キエフの補給を切断しており、これで孤立となるハズでしたが、ソ連軍の後方を連絡線が通じたため、ご破算となってしまいました。変な事態ですが、ルール的には問題はないんですよね。
⑤
第4装甲軍
⑥
ステップ方面軍→
マンシュタインで割り込み:第1装甲軍
⑦
南西方面軍
⑧
ステップ方面軍
⑨
マンシュタイン:増援の受け取り
装甲師団と歩兵師団でしたが、細かい名前などは忘れてしまいました。
⑩
南西方面軍
⑪
第1装甲軍:ルーデルの支援を受けて反撃を行う。それでも後退型の戦闘結果なので、ソ連軍にも損害はない。
先のターンに北部で揺さぶりを掛けた後で、このターンは南部でラッシュを行いました。
これにより、ドニエプルペトルフスクとサポロジェの間でドニエプル河を渡河。そこから浸透を続けて、ドニエプルペトルフスクを完全に包囲し、ドイツ軍の戦線を食い破り、危機的状況に陥らせています。
『6ターン』
①
第8軍
②
南方面軍
③
第4装甲軍
④
マンシュタイン: ドニエプルペトルフスクの死守を解除
⑤
第1装甲軍
⑥
ステップ方面軍
⑦補給判定
⑧
南西方面軍→
マンシュタインで割り込み: 第8軍
⑨
南方面軍
⑩
ヴォロネジ方面軍
⑪
南西方面軍
⑫
南西方面軍
ソ連軍は最早南部でのラッシュを隠そうとしませんでした。そしてドイツ軍はマンシュタインをドニエプルペトルフスクの死守解除と、割り込みでの対応を強制しました。これでこのターン後半はソ連軍の活性が4連続する事となりました。そのため、ドイツ軍の反撃を心配す必要が無くなり、大胆な攻勢を行なえました。
先のターンから防御態勢を敷いていた北部でも攻勢に出て、ドイツ軍の戦線へ浸透しています。ここでも攻撃は低調でしたが、それでも多くのドイツ軍を包囲下へと捕らえられています。
そして本命は南部でした。ドニエプルペトルフスクへの攻撃は補給切れが2ターン続き、孤立となってから防御力が減退するため、それを待ってから攻撃を行うつもりでいました。しかし、死守命令が解除され、DRが1回だけで占領を行えるため、強襲を行いました。死守命令が生きていれば、DRを損害で打ち消せたんですよね。ただ、ここで解除しないと、ドニエプルペトルフスクが陥落時点で、サドンデス負けが決定するんです。
ちなみに、ここでもソ連軍の攻撃は低調でした。3回目の攻撃でしたかねぇ。それまで効果なしが続いた後で、ようやくドニエプルペトルフスクの占領に成功しましたっけ。
ドニエプル河を越えた南部の主力は、一路西進し、逃げ遅れたドイツ軍を喰って行きました。そして第6軍は重囲へと陥っています。
6ターンを終えた時点でVPは59。
勝利が決定する65までは達していませんでしたが、既に戦線が崩壊しているため、ドイツ軍は投了を申し出ました。
さて、結構重要なルール間違いがありましたので、ここまでソ連軍が一方的に押し切る事は出来ないでしょうね。
それにドイツ軍が損害を防ぐテクニックも幾つか思い付きましたし。これについては、皆さんで考えてください。
ルールの間違いと、ドイツ軍の守り方が習得できれば、ギリギリな戦いとなるでしょう。絶妙にユニットの戦力や移動力も調整されていますし。
褒めてばかりも如何なものでしょうから、問題点も指摘しておきましょう。
まず、プレイの時間が掛かり過ぎますね。朝から朝一番から始めて、6ターンを終えたのは18時でしたから。残りの3ターンありますので、最終ターンまで勝負が長引くと、例会終了までに終わるかどうか微妙になりますね。
それから、どうにも同人誌の感覚が抜けていないようです。というのは、デザイナーの中村にふ~ら~を付けるのは如何な物でしょうかねぇ。海外では本名の中村徹なので、それの方が良いと思うのですが。
同人誌感覚はルールブックにも散見されます。
文章を『激マン』から流用しているため、このゲームでは適合しない部分があります。例を幾つか挙げてみましょう。
3.2 ZOCに「通行禁止ヘクスサイド」とありますが、 マップにはその「通行禁止ヘクスサイド」はありません。
3.4市街ヘクスとありますが、大都市と街はありますが、「市街」はありません。
10.6の(6)に「退却はもっとも近い自軍連絡源に連絡線を引けるヘクスに向けて」とありますが、この「近い」が「自軍連絡源」か「連絡線を引けるヘクス」なのか判然としません。
14.0司令部ユニットの(4)に「活性化された司令部は通常の移動にかえて再配置できます。」とありますが、これはVPの対象になるのでしょうか?なるならば、自らこの再配置を行う人間はいないのですが。
最後に、各所で(参照)とあるのですが、番号や項目の指定がないため、何処を参照するのか不明です。
以上は、細かい事ですが、ちょっと確認しておけば、防げるような物ばかりです。
[2回]
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